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スタジオモニターを使ったマルチチャンネル・オーディオ

今回はスタジオモニターを使ったマルチチャンネル・オーディオを考えてみたいと思います。

ここでいうマルチチャンネル・オーディオとは映画やコンサート映像作品で使われるマルチチャンネルで、例えばドルビーデジタルやDTS等になります。

通常、家庭でマルチチャンネルを再現するには、デコーダーを内蔵したAVアンプとマルチスピーカーを使って構築します。

AVアンプはデコーダーの役目もあり、更に各マルチスピーカーへの電力や音の信号を送ります。

使われるスピーカーはパッシブスピーカーという種類になり、AVアンプのようなスピーカーの外から電力を供給する必要があります。

スタジオでも昔はパッシブスピーカーが主流でした。

中でも有名だったのがYAMAHAの10Mというスピーカーです。

パッシブスピーカーなので私は今でもAVアンプと組み合わせて使用していたりします。

今でも大型モニターは別にアンプを用意するパッシブ方式が多いのですが、中型・小型モニターの現在の主流はパワード方式のスピーカーが占めています。

パワードは各スピーカー自体にアンプが搭載されています。

よって別にアンプが必要なく、見た目はスピーカーだけで動作するというものです。

直接ミキサーのモニターアウトプットと接続する形になっています。

<パッシブ>

ミキサー ⇒ アンプ ⇒ パッシブスピーカー

<パワード>

ミキサー ⇒ パワードスピーカー

今回はそんなパワードスピーカーを使ったマルチチャンネル構想を考えてみました。

音楽制作で使うモニタースピーカーでマルチチャンネルを組みたいなんて思っている方は少なくないはずです。

DAWでもマルチチャンネル製作が浸透してきていますが、DAWを使わず純粋にスタジオモニターを一般的なマルチオーディオのように扱いたい。

そんな内容となっております。

なのでなるべく料金がかからないように考えてみたいと思いますw

<必要機材>

まず必要になるのが各スピーカーへ信号を送るAVアンプのような役割です。

当初はミキサーを考えたのですが、例えば最新のドルビーアトモスのような7.1chシステムを構築するには8バスが出力できるミキサーが必要になります。

そうなると結構大型で高価なミキサーが必要になります。

そういったデメリットを省けば、各スピーカーへ送る音量の調整もできますし、8チャンネル以上の入力があるミキサーであれば、ほかの機器からの入力もできたり。

ただ、それだけ大型なミキサーを置くのも無理がありますよねw

とうことで今回出てくるのがパワードモニター用のアクティブ・モニターコントローラーです。

通常は2ch仕様や4ch仕様が多いです。

一般のオーディオ製作ではステレオモニターの製作用で使うものなので2chで問題はありません。

またラージとスモールの2種類のモニターを使い分けたい方のように4ch仕様のコントローラーもあったりします。

ちょっと話がずれますが、単体で動くオーディオインターフェースを使う手もあります。

REMのFireFace UFXは8バスアウトプットがあります。PCを繋がなくてもインターフェース単体で動作できるので価格は高いのですが活用する方法もあります。

話は戻りまして^^、モニターコントローラーですが候補が2つほどありました。

両方ともメーカーは「SPL」さんです。

マルチ出力専用のモニターコントローラーです。

●SMC・・・5.1ch用コントローラー

●Volume8・・・7.1ch用コントローラー

価格はどちらも約10万円です。

RMEのUFXが30万位するので、モニターコントローラーという観点から考えると高いので、この選択となるかと思います。

両者の違いはチャンネル数です。

最新の7.1chで再現したい場合はVolume8

ただ、操作面では5.1chのSMCの方が操作項目が多いです。

Volume8はボリュームノブとミュートボタンのみ。

SMCはステレオのみにしたり、各チャンネルのON/OFFの切り替えが出来たりします。

またSMCの背面も入力数が多く、マルチ出力とは別に、2chのステレオ出力が出来ます。

入力系はマルチ、ステレオで各ピン入力やD-Subの入出力端子も装備しています。

Volume8はD-Subの入出力端子のみとなっております。

また価格は高くなり倍の20万円クラスにはなってしまいますが、「SMC7.1」が7.1ch用という位置づけのようです。

こちらはSMC5.1chと同じく個別にON/OFFが出来たり、7.1chのD-Sub入力が2系統あったりしますので、複数機器を接続するなら

高いですがSMC7.1が良さそうです。

ヘッドホン出力がついているのも魅力的です。

SMCで使うD-Subは「D-Sub25」という仕様です。

使用するケーブルはD-Sub25を購入する必要があります。

安いのはサウンドハウスさんで買えるHOSA社のケーブルです。

一番短い3m仕様で7000円位で購入が出来ます。

安いといっても結構しますね。

ただ、画像で見てもらっても分かるように、3ピンのXLRケーブルです。

XLRをピンに変換する必要があります。

同じくサウンドハウスさんでクラシックプロ社のXLR-RCAピンの変換ケーブルが0.3mで250円です。

今回はD-Sub25側のXLRがオス。変換ケーブルのXLRがメス仕様になっていますが、逆のパターンのケーブルもありますので好みに合わせて選びましょう。

価格は大差ないです。

●デコーダー

そして最後に必要なのがマルチチャンネル・デコーダーです。

ドルビーデジタルやDTS信号を5.1chや7.1chにする機器となります。

ですが、単純にデコーダーだけとなると民生機では無く業務用となってしまいます。

価格も高価で、さらに専用の接続フォーマットとなるため今回のようなシステムでは対応できません。

そこで使えるとなるとAVアンプを利用する方法とマルチチャンネル出力ができるブルーレイプレーヤーとなります。

残念ながら、どちらも普及帯の製品にはない機能です。

調べたところマルチチャンネルが出来るAVアンプは、例えばヤマハさんですと「RX-A880」AVレシーバーとなります。

このモデル以下になるとマルチチャンネルのRCAピン出力端子がないので使えません。

他のメーカーのAVアンプでも、このマルチチャンネルのRCAピン出力があれば使用できます。

RX-A880は7.1ch分のPRE OUTが出来るようになっています。

価格は安いお店だと7万5千円くらいとなっています。

ブルーレイプレーヤーも普及帯モデルにはマルチRCAピン出力があるモデルはあまり無いようです。

中でも比較的、安価なモデルとしてはDENONさんの「DN-500BD MKⅡ」です。

販売価格としては約5万円となります。

1Uタイプで厚みも薄く、ラック耳もついているのでラックケースに搭載できるなど業務用な感じになっています。

ただ注意したいのが対応しているサラウンドが「DOLBY TRUHD」や「dts-hd」までとなり最新のアトモスやXには対応していません。

パナソニックでは「DMP-UB90D」となります。

価格は約8万円弱です。7.1chのマルチRCAピン出力がありますので活用できます。

最新の4k UHDディスクにも対応しています。

更に上位機種の「DP-UB9000」の価格は価格は約20万円ほどします。

こちらも4k UHD再生と7.1chのマルチRCAピン出力がありますので活用できます。

と書いてきましたが、AVアンプを選んだとしても別途ブルーレイプレーヤーが必要です。

所有済みのプレーヤーやゲーム機があればAVアンプの方が節約できます。

なければプレーヤーも含めて購入するので普及帯プレーヤーと合わせると10万円コースとなるでしょう。

プレーヤーとするとブルーレイや最新のフォーマットに拘らなければ5万円。

最新の4k UHDまで見据えると10万コースとなります。

これにモニターコントローラーとD-Subケーブル、変換ケーブルが加算されます。

もし10万コースを選ぶとしたら、私だとAVアンプを選択します。

AVアンプですと入力機器の数も増やせますし、最近のAVアンプは優秀でハードディスクの音源データーを再生させたり、ネットワークプレイヤーにもなります。

パッシブスピーカーを接続することも出来ますので、8万のAVアンプと安価なUHDプレーヤーとの組み合わせが良いかなと思います。

ということで、スタジオモニタースピーカーをマルチチャンネルにする方法としては、マルチ出力できるモニターコントローラーとAVアンプの組み合わせで可能になるというお話しでした。

GenelecやAdam,EVEのモニタースピーカーでサラウンド映画を見たら、そりゃぁ迫力満点でしょうね^^

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