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RME/UFXシリーズ
一時期は半導体不足によるインターフェース生産の行方が見えない時期がありましたが、最近は徐々に回復しているようです。
RME社のインターフェースも同様に手に入りにくくなっていましたが、最近生産数が上がっているようです。
今後はさらに生産量が戻ると思いますので転売による高値の販売には手を付けないように気を付けてください。
■RMEについて
RMEは1996年に設立された会社です。
私が始めてRMEを意識したのが今から10年ほど前だったかと思います。
その頃はまだ業務クラスではPCで長時間のライブ録音はPCのスペックもそうですが不安定な時代でもありました。
私も仕事ではPCではなく大型のMTRを使ってライブレコーディングしたりマルチレコーディングをしていました。
デジタルミキサーとハードディスクのレコーダーをADATで接続してなんてのも業界の標準でした。
スタジオなどの録り直しができる環境ではProtoolsでの録音もいいのですが、やはり一番怖いのがPCのフリーズでしょうか。
当時、奥田民生さんが全国のライブで1会場で1曲作るなんて企画があったのですが、その際も途中でProtoolsが止まっている場面がありました。
MTRで止まるのは希ですので、信頼性という観点からライブ録音におけるレコーディングには手を出しにくかった時代です。
そろそろPCでもレコーディングが出来たら、取り込み作業もなくその後の作業や処理もダイレクトにできるので切り替えたいなぁと思っていた時にInter BEEで出会ったのがUFXでした。
RMEはそれまでもFireWireやPCIカードの製品をだしていたようですが、その時代はあまり詳しくはないです^^
■UFX
このUFXの出会いによって会社としても個人としてもUFXへと切替になりました。
通常のインターフェースはPCと組み合わせて初めて機能するもので、名前の通り入出力機としての位置づけだったインターフェースが、UFXは本体自体が主体となった製品となっています。
UFX本体のUSB端子に外付けHDDを接続すると、それだけでマルチレコーディングができてしまう。
あくまでPCは操作がしやすくなるだけという感じで本体のスイッチだけで全部の設定が調整できてしまうのです。
しかもDAWと連携すれば、DAWがメインレコーディングとして、外付けドライブがバックアップという最強の組み合わせになるのです。
本体が独立して生きているのでPCがフリーズしてもUFXに接続された外付けドライブのレコーディングには影響が出ないのです。
これでようやく仕事でもつかえるインターフェースが出来たんだと感動してInterBeeに行った直後にすぐに購入しました。
接続も当時はUSB3.0端子が出回っていたのですが、あえてUSB2.0という端子を採用してきました。
オーディオの情報量だとUSB2.0でも問題なく、しかも最大30chの入力ができるという(デジタル2ch含む)
本体が独立して動いているのでPCへの負担も少なく、その当時の標準スペックノートPCで動いてしまう代物でした。
■音質
UFXはかなりの高解像度です。
ヘッドホンアンプも高音気質でより解像度が高く感じるのですが、私の正業ジャンルのオーケストラのような生楽器オンリーのマルチで大活躍です。
海外ではだいぶサンプルがあったのですが、まだ当時は国内でRMEを使ったレコーディングをしているところは限りなく少なかったです。
今ではそういったマルチ録音にはRMEは定番になっています。
■バックアップ
さて、UFXの最大の特徴でもある単独でレコーディング。
使用するドライブは宣材写真ではUSBメモリーがつけられているものがありますが、メーカーさん曰くHDDがよいとのことです。
USBメモリーはメーカーによって書き込みスピードの安定がばらばら、バッファないので最悪書き込みがこける可能性があるとのことです。
その点HDDはバッファ問題も心配ありません。
バックアップで使用する際は2.5インチでもいいのでHDDがお勧めです。
■最新のUFX 3
個人的に使用しているのは初代UFXで、仕事でも初代を使っていたのですが。そろそろ10年選手となりますがまだまだ元気です。
壊れる気配もみられませんが、使用年数が少し気になってはいたので会社のインターフェースはUFX3に変更しました。
■違い
大きな違いは入力数とMADI搭載となります。
前機のUFXは無印のUFX2とMADIが搭載されたUFX+の2種類が販売されていました。
UFX3は今のところ無印のみですが、もしかしたらDanteに対応したUFX3+なんてのも登場するかもしれません。
というのも数か月前にMADI接続ができるマイクプリがあったのですが、新たにDanteにも対応したマイクプリが登場しています。
実は業界ではMADIよりもDanteの方が歴史があって普及しているのもDanteの方が多く見られます。
ホールに関してはYamahaの機材が多く、YamahaもDanteを採用している点がDante普及に大きく作用しているのだと思います。
そしてUFX+とUFX3はUSB3.0端子になりました。
これによりUFXでは最大94chまでの入力に対応しました。
もちろんADAT端子も健在で、MADI接続を含めて94chまでの対応となっています。
■MADI
RMEが積極的に普及させようとしているMADIですが、ツイン光ケーブルによる接続で長距離の引き回しでもケーブルノイズの影響がありません。
Danteと対の規格ですが、Danteはネットケーブルで接続となります。
デメリットとしてはMADI対応製品の価格です。
8chのMADIマイクプリで50万とかなり高価で94ch分まで確保となると。。。かなりな値段でもあり、実際にMADIで活用する個人ユーザーは少ないかと思います。
ADATのようにハードルが下がってくれればぐっと普及するかと思うのですが今後に期待です。
うちの会社も今のところMADI接続できるマイクプリはRMEのミクスタシィが1台となっています。
ミクスタシィはADATのころから使っていましたが、今回UFX3の導入でオプションのMADIカードを増設しました。
■音質
正直初代UFXとの違いはあまり感じられません。
それだけ初代UFXが完成されていたことになります。
スペック的には向上しているようですが^^
ということもあり、初代UFXもまだまだ現役で使える機材ということになります。
ここ数年オーディオマニアの方の目にもとまり、ヘッドホンアンプとしても有能とされて日の目を浴びているメーカーともなりました。
■デメリット
音質や使い勝手については初代と変わらないので移行も不便は感じないと思います。
ただ。。。なんでしょうか、価格が上がった割にはコストダウンしているパーツがあるのです。
液晶です。
液晶の質が下がりました。
初代はかなりくっきりした表示だったのですが、UFX3は薄いのです。
部品価格高騰で液晶はランクが下がった部材を使っているのかなぁと思います。
初代や2を使っている方でしたら、きっとあれぇとなるはずです。
ただ、実際はパソコンのUFXアプリを使っての設定操作となるので問題はないのですが、それにしても標準価格はぐっと上がっているので
ケチらないでほしかった部分でもあります。
■総評
マルチ録音をライブで安心して使いたいならUFX一択となるかと思います。
それくらい安定しており、バックアップ体制も整っている機材です。
それにしてもコロナ以降インターフェースの価格が軒並み上がってしまい買換えも頭が痛いですよね。