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AKG 414に似たマイク
414とはAKG社を代表するコンデンサーマイクです。
歴史は古く最初の414は1962年です。
AKG社自体の創立は1947年と第二次世界大戦の後となります。
マイク名は「C12A」でした。
そうです。最初は414ではなかったのです。
マイクのデザインは現行の414もC12Aも大きく変化はありません。
このC12Aは1953年にC12というシンプルな名前のマイクがあり、その後続機として製造されました。
その大元のC12はtelefunkenのELA M-250が基礎となっているそうです。
このM-250の設計はAKGが行っているので、M-250とダイヤフラムを共有して、更に高音圧に耐えられるマイクとして生まれたのがC12となるのです。
そのC12のマイク思想を引き継いだのがC12Aとなるのですが、ややこしくAKGからはC12を純粋に引き継いだマイクとしてC12VRが現行品として販売されています。
形は元のC12と同様な円筒型になります。
こちらは真空管マイクとなっています。
といった感じで当初は真空管マイクでした。
C12をコンパクトな形状にしたのがC12Aであり、その後更に更に使いやすくしたのがC414 Combとなり、ここから名前に414が付きました。
形状はC12Aと同様ですが、外部電源として専用電源でもファンタムでもどちらも対応している点からCombという名前がついています。
そしてより使い勝手がよいファンタム専用として414は現在まで進化を続けています。
414はダイヤフラムの大きさの割りにコンパクトな形状をしています。
故にステージでも目立ちにくくクラシックのライブ録音でも多く使われています。
木管から金管。弦楽器、打楽器、ボーカルとオールマイティーに使われ業界では標準的なマイクとして大体のスタジオやホールに完備されています。
ソロ用のマイクとしても使われる事が多いです。
音質も癖は少なく非常にまじめ(純粋)な音がします。
ですが音質面も年々変化しており、近年の414はNeumannU87のような温かみのある、厚みが感じられる傾向になってきていると思います。
その点からも純粋なC12の音質が求められて現在C12VRという円筒型の真空管マイクが販売されているのだと思います。
(これは勝手な推測ですが^^)
414の歴史はここまでにしておいて要約本題です^^
414は業界のスタンダード的な存在である故、414を目指すマイクがいくつか存在します。
414の価格は7万~10万の間となっています。
現行414は2種類あり、マイクネットがシルバーのULSとゴールドのTLⅡがあります。
ULSとTLⅡの違いはTLⅡがトランスレスとなっており、ULSは純粋な音質。TLⅡは温かみをプラスした少し色が付いた音質となっています。
ソロ用やボーカルではTLⅡが人気があります。
クラシック録音のように平均的にマルチマイクで使う場合は純粋な音質のULSが使われる事が多く見られます。
そんな414をインスパイアしたマイクが他社メーカーから出ているのですが、そちらを一部紹介します。
■LEWITT
前回のお勧めマイクとしてご紹介したマイクです。
詳しくは前回のブログをご覧ください。
メーカーはAKGと同じウィーンにあり、AKGでキャリアを積んだ方が設立したマイクメーカーです。
AKGは古き伝統を引き継いでマイクを進化させていますが、故に古い考えに疑問を感じ、もっと効率が良く現代に
あったマイク作りを目指したのがLEWITTです。
価格も414の半額以下で購入ができ、設計の効率の見直しによってS/Nも格段と高くなっています。
音質もTLⅡにちかいCLT440や、よりノイズに配慮したモデルや真空管を搭載させたモデルも販売しています。
■Austrian Audio
こちらもLEWITTと同じく本社はウィーンにあり、元々AKGに在籍していた方々が作ったマイクメーカーとなります。
414を軸として更に改良をして作ったマイクとしてOC818(マルチパターン)やOC18(単一指向)があります。
形状はオリジナルなデザインとなっており、形からは414とは違う感じがしますが414の思想とオリジナルの要素が詰まった新しいマイクとなっています。
こちらのマイクはS/Nが高いのでステレオペアで購入しなくても、ばらばらで購入したマイクもペアマッチとして使うことができるそうです。
マルチパターンも単一も、パターン以外は同スペックとなるので、例えば818と18でステレオペアとしても使えるそうです。
あまり目にする事は少ないマイクですがプロの現場でも使われています。
私が初めて見たのは久石譲さんのパリ公演です。
そこで久石さんが演奏するピアノ用としてOC18が使用されていました。
同じく久石さんの武道館コンサートではピアノ用としてC414が使われていたので、OC18が使われることは自然な流れなのかもしれません。
プロも使う確かなマイクなので私も気になっておりますが、価格としてはOC818が14万円。OC18が10万円なので価格だけみるとやはり414の方が。。。となってしまいますかね^^
それもあり国内ではなかなか見る機会が少ないかと思います。
今後はもっと活用の現場が多くなれば414よりもOC18となる時代が来るのかもしれません。
形状は414よりも大きいので見栄え的には立派ですし高そうに見えます^^
■WARM AUDIO
2011年にテキサスで創業したメーカーです。
マイクに限らずマイクプリ、コンプレッサーなど様々な機器を製造しています。
高価で有名なメーカーのモデルを安価に提供しているメーカーです。
コピーとなると悪いイメージがありますが、こだわりのパーツで組み上げた機器はどのモデルも完成度が高いです。
私はマイクとは関係ありませんがバスコンプが非常に気になっております^^
そんなメーカーが出している414的なマイクがWA-14です。
価格は6万円と現行414より1,2万ほど安く購入が出来ます。
音質は1970年の初代C414Combを意識して作られたマイクとあり、現行の414ではなくチューブ時代の414が狙いで作られているそうです。
他にもNeumannを意識したマイクなども販売しています。
■SE ELECTRONICS
2000年にイギリスで創業したメーカーです。
このメーカーも多数の有名メーカーのマイクをモデルして販売しています。
SE4400aが414を意識していると思われますが価格は5万円となっています。
ショックマウントの形状が独特で非常にスマートなショックマウントです。
ステレオペアセットも用意されており、2本購入ならペアを買うほうがお得になっています。
予断ですが私的には同メーカーのSE8が気になっています。
SE8はNeumannの184がベースとなっていると思われ、これまたS/Nもよく184的な音質となっています。
比べると184のような落ち着いた感じが薄れていますが、サブマイク的な使い方。
クラシックでのフルマルチ時のピアノやハープなどで使うと予算的にも非常に魅力的です。
ギターにも重宝しそうです。
このように414がいかに業界スタンダードに位置するマイクということが分かるかと思います。
安価に目指すメーカー。更にブラッシュアップするといったメーカー。
その両立を目指すメーカー。
予算に余裕があればもちろん本家が一番いいんですが、個人で使うならばどれも間違いは無いように思います。
個人的に気になるのはAustrian Audioでしょうか。
久石さんがあえてこのマイクを使うのはそれなりの思惑があっての事だと思いますし、それこそピアノで使うマイクなんて他にも選択肢がある中OC18を使用している。気になります^^
しかしです。国内のホールに持ち込むとしたら本家は持っておいた方が動きやすい環境を作るには間違いはないです。