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モニターの色精度(キャリブレーター)
最近はHDR撮影や、Log撮影できる機種が増えてきてグレーディングに対する期待も増しています。
Log撮影については以前ご紹介したのですが、簡単に言うと「色の補正幅が広い撮影方式」という感じでしょうか。
今までも色の調整は行われていたのですが補正程度の調整でした。
これは色がきつすぎるとか、マルチカメラでのカメラ間の色統一のような目的の要素が多かったと思います。
ですが、色調整をすると明るさの快調も変わってきて、見えていた部分が見えなくなってしまったり、色々と支障が出てしまうこともありました。
だからといってLog撮影しておけば何でもOKとはいかず、グレーディングがしやすい安定した素材を撮影するのは今までと変わりありません。
写真のRAW撮影に似ていて現像処理をするような感じでしょうか。
出来上がった写真をいじるより、現像段階でいじる方が劣化が少ないと。
本日の話はLog撮影ではないのですが、ちょっと前置きとして書いてみました。
そんな色調整(グレーディング)をする際に問題になってくるのがモニターの色精度です。
正しい色精度をもったモニターで調整をしないと、意図した色で再現されなくなってしまう可能性もあります。
これはビデオだけではなく、写真でも同じことです。
そこでお勧めしたいのが「ディスプレイキャリブレーター」です。
キャリブレーターを製造しているメーカーは少ないのですが、その中でも有名なのが「X-Rite」社の製品です。
X-Riteはグレーディングには欠かせない「カラーチェッカー」も製造しており、撮影の世界でも有名なメーカーです。
キャリブレーターはモニターの色を任意に調整してくれるツールで、ソフトウェア的に、またハードウェア的に色の補正をします。
一般的にはソフトウェアで補正しますが、モニターがキャリブレーション対応している場合ハードウェア補正が出来ます。
X-Riteのキャリブレーターには入門モデルからプロフェッショナルまで何種類かの製品に分かれています。
・X-RIte ColorMunki Smile
・X-Rite ColoMunki Display
・X-Rite i1 DISPLAY PRO
・X-Rite ColorMunki Photo
これらがX-Rite社の代表するキャリブレーターです。
上から入門機モデルで1万円ちょっとで購入ができます。
一番下は4万円強で、名前の通りプロの写真家が愛用している商品です。
この中で普及しているモデルはColoMunki Smileとi1 DISPLAY PROになると思います。
両者極端で、入門としてSmile。プロが使うとしてi1となります。
ちなみに私は2番目のColoMunki Displayを使っています。
その理由については後々ご説明させて頂きたいと思います。
さて、これらのキャリブレーターですが入門機に限ってはちょっとしたデメリットがあります。
Smileに使われているレンズに理由があるのですが「ゼラチンフィルター」が使用されています。
このゼラチンフィルターは昔からキャリブレーターには使われていたのですが、ゼラチン故、劣化してしまうのです。
具体的には、色が変色したり、カビが生えたりします。
そうなると精度はがた落ちで、おかしな色で再現されてしまうのです。
それ以降の商品はガラスフィルターが使われているので極端に精度が落ちることはないと思います。
だからといってカビが生えないとは限りませんので、保管方法を徹底するのは変わりません。
ゼラチンフィルターだから1年でだめになってしまうといえば、そうでもありません。
防湿庫や湿気対策をすれば、2,3年は問題なく使えると思います。
もちろんその後も、保管を徹底すれば長く使えると思います。
というのも、プロが使うショルダービデオカメラにもゼラチンフィルターは使われていて、湿気の少ない室内で使えば何年も変える必要がなかったりします。
ということで、保管方法を徹底すればSmileでも問題はないのです。
センサー的の精度は置いておいて、今度はソフトウェアです。
一般的なキャリブレーターはソフトウェアで補正をします。
そのソフトウェアが高機種になるにつれて詳細に調整が出来るようになります。
特にこだわりがない場合、Smileでも十分モニターの精度は保つことができます。
さて、私がColoMunki Displayを選んだ理由は、ガラスフィルターという点も大きくあるのですが、ビデオ編集に特化した色補正が含まれている点です。
予算が許せば、その上のi1を選ぶわけですがDisplayにはビデオ規格のRec.709に対応している点です。
4K以降になるとRec.2020に対応しているとさらに良かったのですが、NHKの4K提出規格もRec.709になっているので基準としての色がわかれば問題はないと思います。
もちろんプロフェッショナルな方の場合は重要になってくる点ではありますが、その場合は対応しているi1にするか、もしくは今後ソフトウェアのバージョンアップでRec.2020が選べるようになるのかもしれません。
というのも、Displayとi1のキャリブレーター本体はほぼ同じだそうです。ソフトも随時更新されていますので搭載される可能性は。。。。あるのかもですねw
また4Kディスプレイにも正式に対応していますので、今後も末永く使えると思います。
写真規格のD65については、Smileでも対応しています。
次回はDisplayeの具体的な使用方法を書いてみたいと思います。