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カメラスライダー
私が好きなカメラ機材の中にスライダーがあります。
三脚を使っての固定撮影にスライドする動きが入ると作品の深みがぐっと上がります。
今回はそんなスライダーについてお話したいと思います。
プロの業界ではレールカメラというのがあります。これは三脚の下にタイヤとレールを組み合わせたパーツを装着して、電車のようにレールに沿った動きが再現できるとういう機材で、かなり大掛かりな内容になります。
これを手軽にしたのがスライダーです。
レールのようなダイナミックな移動幅はないものの、ちょっとした横移動でも映像に作品力がでます。
しかも大きさが手ごろな三脚程度で、ワンオペレーターで対応可能な機材になります。
価格は数千円から6万円以上のものまであります。
また、スライダーのほとんどが海外メーカーのものです。
私は過去に3回スライダーを購入してきました。
アマゾンから購入したり海外のショップから購入してみたり、なかなか納得の得られるものがなく。
というのも個人で使う趣味機材ですから、なるべく低予算で実現したいとうのが念頭にありました。
また低価格なものが沢山あるので、動きとしてはスライドさせる機材なのでどれも一緒だろうと。
ですが、ここは価格の差が大きく関係してくることだと購入する度に思わされました。
結論から言えば、「5,6万円ほど出さないとスライダー沼にはまる事になる」になります。
スライダーには大きく分けて3種類あります。
● 低価格なナイロン樹脂を使ったスライダー
● 移動距離を稼ぎつつ小型なバランサー型スライダー(ドリースライダー)
● ベアリングを使ったスライダー
となります。
<ナイロン樹脂スライダー>
私が一番最初に購入したのはナイロン樹脂スライダーです。
スライダーには移動できるレールの長さでふり幅に違いが出てくるのですが、大体のメーカーが40cm、80cm、120cmの3タイプの長さを選択購入できるようになっています。
持ち運びに適しているのは40cm、80cmタイプになります。120cmになると徒歩移動ではかさばってしまいます。
ナイロン樹脂スライダーの話に戻りますが、なんといっても低価格。私が購入したのは120cmタイプで1万円でおつりがきました。
レールの上を走行する車輪がなく、変わりに滑りのよいナイロン樹脂がレールに接触する部分についています。
滑りがよいといっても所詮樹脂。均一なスピードで動かし続けるのは難しく、かなり気を使わないと途中でひっかかりがでたり、スライドスピードに強弱がついてしまいます。
ですが、そんな癖があるナイロンスライダーも使いこなせばスムーズな移動撮影ができるようにもなります。
(軽めのカメラで操作する分には、この欠点が緩和されるようです。)
欠点はカメラを固定したスライドしか出来ない点です。
扱いに精密さが問われますので、三脚ヘッドを動かしながらの組み合わせ技が使えません。
価格が1万円しないスライダーですので求めすぎてはいけませんが、使わないと見えない部分に遭遇したのが組み合わせ撮影でした。
ナイロン樹脂スライダーを安定して動かすコツですが、私の場合動かす台座に長めにタコ糸を2点取り付け、タコ糸を引っ張りスライドさせる方法です。
この方法にすると、台座自体に触れて移動させるよりもより自然なスピードで動かすことができました。
中にはモーターと糸を使って自動で動かす方法を採用されている方もおられますが、タコ糸だけですので予算も装備も少なくできてお勧めです。
入門用としてや低価格をお望みの方であれば有ではあると思います。
<バランサー型スライダー(ドリースライダー)>
スライダーの唯一の欠点は移動時の持ち運びです。
距離が長ければ長いほどかさばります。
これを解決してくれそうなのが「バランサー型スライダー」です。
カメラ台座と、その重さのバランスを保つバランサーが交差することにより短いレール幅で倍以上の移動を可能にしてくれます。
これを開発したのがEdelkrone社の製品です。
非常に面白い動きをします。
欠点は価格と重さです。
価格は6万円ほどし、重さも結構な重さになります。
バランスをとるための錘によって重量がかさみます。それらを除けば移動時も三脚に搭載したまま、しかもスライド距離が稼げます。
私が2番目に購入したのがバランサー型ですが、残念ながらEdelkrone社の製品ではなく、同じ構造をした中華ドリーですw
このようなパチもん製品は多数あり、ほぼ構造は同じながら若干の違いがあったり。
私は使用感を求めてスライド台が固定でき、かつ評判がよさそうなものを購入しました。
スライド撮影もしたいし通常の三脚の固定パンチルト撮影もしたいので、いちいちスライダーを取り外さなくてもできるようにスライド台がロックできるタイプを購入しました。
パチもんのドリースライダーは値段は1万円からあるようですが、私は海外の製造メーカーから購入して送料合わせて2万5千円くらいでした。
とにかく動きが非常に不思議な感じで感動をしました。
またレールと接触する部分にはベアリングのタイヤもついており動きもスムーズでした。
欠点は一番重要なバランサーです。これがカメラとつりあっていないと最端部分まで到達すると沈んだり、三脚が傾きます。
軽量なカメラならば問題はないのですが、私には大きな欠点となりました。
通常のスライダーであればレールの端に支えの三脚をつけることによって対応できるのですが、バランサー型なので中央部分の固定しかできません。
本家Edelkrone社製品ですと、これがカメラの重量によって分かれていますので想定するカメラの重さで選択(価格も変わりますが)する事ができるようです。
またスライドのスピード調整も癖があり、スムーズすぎて粘りのある動きを再現するには、やはり樹脂スライダーのように練習が必要となります。
粘りは台座についている4つのベアリングタイヤの締め付けで調整はできるのですが、粘りが感じられるくらい締め付けると急激に動きが悪くなります。
ぎりぎりのラインまで追い込み、そこからは技術でカバーするしかないようです。
また台座のロックも台座自体にロックがついているタイプをお勧めします。
私が購入したのは台座とバランサーを結ぶベルトをロックするタイプであったため、長く使用しているとベルトに緩みが発生してしまいました。
定期的なベルトの張りをメンテナンスする必要にもなりますし、完璧なロックは出来ませんでした。
Edelkrone社では関節型のスライダーも登場しています。
バランサー型よりも更に小型になり、よりワンオペには嬉しい構造となっております。
動き出しに癖があるようですが、これも技術や映像加工で対応できる範囲なのかもしれません。
こちらもカメラ重量によって3種類のスライダーに分かれております。
<ベアリングスライダー>
私が最後に行き着いたスライダーです。
はじめからこれを選んでおけば。。。と思う次第ですがスライダー好きな方はみなさん、こういった道を経てたどり着くようです。
大きな欠点は価格。そして大きさです。
大きさは通常のスライダーにあるスライド距離のレール長さです。ですが、これは安定や使いやすさからみればたいした事はないのですw
価格は6万円ほどします。これが一番最後にたどり着く理由です。
できれば安く仕上げたい機材。それがスライド沼にはまるきっかけなのですが、予算がある方は迷いなく6万円クラスのベアリングスライダーをお勧めします。
というより、これが答えなのです。
ベアリングスライダーも安価なものが存在します。それは決して選んではいけません。
レールは動きが単純な機材ですが、それゆえ精密さが問われる機材です。
単に横にすべるだけでなく、粘りある低スピードでも安定した動きを得るには機材の精度が問われるのです。
そこで私がお勧めするのがリーベック社のALXスライダーです。
リーベック(平和精機工業)は国内メーカーで三脚でも有名なメーカーです。
8点のベアリングが使用されており、上側に4つ。それを挟み込むように下側から4点のベアリングによってガタつきのない粘りのある動きが再現できます。
海外のベアリングスライダーとしてはkonovaが有名です。konovaはカメラ重量によって製品が分かれており、かなり大きな機材にも対応した製品があったり、自動でスライドさせるオプションキットもあったりスライダーメーカーとしては世界的に有名です。
ですが、私はリーベックのALXをお勧めします。
ALXの何がいいか。使い勝手のほかにも理由があるのです。
それがパーツ販売をしている点です。
ベアリングからネジまで、レール部以外の部品はすべてリーベックさんからパーツ購入ができるのです。
なので部分的に調子がわるくなったり、長期使用部品の交換も容易です。
これはリーベックの三脚自体も同様で自分でパーツ交換ができます。
これで末永く機材が使えるという安心もお勧めの理由です。
スライダーは一部のお店にしか展示されていない機材です。
しかもamazonや海外ショップで買えるスライダーは展示は皆無でyoutubeで所有者の動画を見るくらいしか判断ができず、あとは実際に購入してみるしかないです。
スライダーは安価で手に入る機材でもありますが、だからといって安価な製品に飛びつくと私のようにスライダー沼に陥ることになります。
それも技術や構造を知るには必要な事だったのかもしれませんが、沼の経費を考えると最初から。。。となりますので、是非今回の記事を参考にして頂けましたら私も救われると思いますw
※バランサー型スライダーは私が勝手につけたネーミングです。通常はドリースライダーと呼ばれる事が多いようです。